meaganeある患者さんが 診療時、眼鏡スタンドに眼鏡を置きながら空襲の悲劇を話してくれました。昭和20年3月、東京の本所、深川が爆撃、焼夷弾攻撃を受けた時のことです。  
 私は実家が近くということもあり、興味深く聞いていました。その日、空襲警報発令を
伝えるサイレンが響き渡った時、防空壕に入ったお姉さんと、入らずに別な場所に身を潜めていた患者さんの運命は分かれました。お姉さんは防空壕の中で、座った状態で焼死されたそうです。この時、眼鏡屋さんを営んでいたというお店も跡形もなく被災し、このスタンドにおいた眼鏡がたった一つ残されたものだから、大切に使っているとお話されました。
 先日、テレビの生放送で出会った女優の五大路子さんから、ご自分が座長である横浜
夢座の『沢村春花一座奮闘記』の話をうかがいました。 
 横浜大空襲の前後4日間にこの一座に起こったことを演じるというのです。それをスタッフや友人と見に行きました。生きていることの偉大さ、ありがたさ、そして戦争の悲劇を教えてくれた夢座のすべての人たちの演技はすばらしいものでした。私は東京大空襲の体験を冷静に話してくれた患者さんの心を重ね合わせて思い出し、途中から涙がずっと止まりませんでした。
 楽しいこと、面白いことしか見たり考えたりしたくないと思っている人たちが多い昨今です。もちろん、私も明るい話題が大好きです。でも患者さんとの出会い、五大さんと出会ったことにより、今生きて楽しく笑っていられることが本当にありがたいと思えるようになりました。こりまでより少し深く生きていると実感しています。
 こういった出会いがあるかないかが生きていることの偉大さ、ありがたさを再認識できるかできないかの分かれ道だとしたら、私は多くの方々に五大さんの舞台に出会うべきだと心から思っています。     
 8月13、14、15日は赤い靴の娼婦の伝説『横浜ローザ』をひとり芝居で熱演されるそうです。一ファンとして私もまた見に行きます。
 皆様もぜひ行かれてはいかがでしょうか?
    場所 横浜赤レンガ倉庫1号館 045-211-1515
     料金 3800円(当日4300円)全席指定
       チケットぴあ 0570-202-9999,9988